山東港湾集団は、米国の制裁対象となっているタンカーの中国東部の同省の港への寄港を禁止したと、3人のトレーダーが明らかにした。同省には米国の禁輸対象国からの原油の最大の輸入元である独立系製油所が数多くある。
クプラーの船舶追跡データによると、同省は昨年、イラン、ロシア、ベネズエラから1日当たり約174万バレルの石油を輸入しており、これは中国の輸入量の約17%を占める。
トレーダーらは、もし禁止措置が実施されれば、3カ国から割安な価格で輸入される制裁対象原油の主な買い手である山東省の独立系精製業者の輸送コストが上昇すると付け加えた。
先月、ワシントンはイランの石油を取り扱う企業と影の船団に対し、さらなる制裁を課した。 1月20日に就任するドナルド・トランプ次期大統領は、第1次政権時と同様に、イランに対する制裁をさらに強化するとみられる。
トレーダーらによると、この禁止措置により世界最大の石油輸入国である中国への輸入が鈍化する可能性がある。
月曜日に山東港が出した通知は、貿易業者のうち2社から入手し、3社目によって確認された。通知では、米財務省が管理する外国資産管理局のリストに載っている船舶に対し、港湾での入港、荷降ろし、船舶サービスの提供を禁止している。
山東港は、制裁対象の石油を輸入するための主要ターミナルである青島、日照、煙台など中国東海岸の主要港を管轄している。
ロイターが確認した火曜日の2通目の通知では、山東港は、制裁対象の原油の大半が非制裁タンカーで運ばれているため、船舶の禁輸措置が独立系製油会社に与える影響は限定的だと予想していると述べた。通知によると、禁輸措置は、制裁対象のタンカー「エリザII」が1月初めに煙台港で荷下ろしした後に発令された。タンカー追跡会社ボルテクサの推計によると、12月には、それぞれ200万バレル積載可能な8隻の超大型原油タンカーが山東省で主にイラン産原油を荷下ろしした。
船舶にはフェニックス、ヴィガー、クイン、ディバインなどがあり、いずれも米財務省の制裁対象となっている。制裁対象外の船舶への切り替えは、利益率の低下と需要低迷に悩む山東省の石油精製業者のコストを膨らませる可能性があるとトレーダーらは指摘する。中国に輸出されるイラン産原油の価格は先月、米国の新たな制裁で輸送能力が引き締められ、物流コストが上昇したため、数年ぶりの高値を記録した。
イランの原油浮体貯蔵量は過去12カ月で最高となる2000万バレルに増加し、イランの輸出船団は1隻当たりの輸出量が多いため比較的余裕がある。ゴールドマン・サックスのアナリストは先週、これが歴史的にイランの原油輸出量のその後の減少と関連していると述べた。同投資銀行は、イランの原油供給量が2025年第2四半期までに30万bpd減少して325万bpdになると予想している。約2年ぶりの高値に上昇したロシアの原油価格は、バイデン政権が対ウクライナ戦争をめぐってロシアへの追加制裁を課す計画であることから、引き続き支えられる可能性がある。
(ロイター)