日本第2位の海運会社、商船三井(MOL)は、米国の新たな関税による貿易ルートの変化から生まれる機会を有効活用することを目指していると、代表取締役社長の橋本雄氏は述べた。
米国の100年以上ぶりの高関税が水曜日に発効し、世界市場を混乱させた。
「貿易ルートの再編は避けられないだろう」と橋本氏は火曜日のロイター通信とのインタビューで語った。
同氏は「低関税国からの貿易は増加し、高関税国からの貿易は減少するだろう」と述べ、一部の貨物は関税が低い可能性のあるメキシコやカナダを経由する可能性があると指摘した。
MOLは変化する貿易パターンを監視し、新たな機会を捉える計画だと彼は述べた。
橋本氏は、中国などの国が穀物の代替供給国としてブラジルやアルゼンチンに、液化天然ガス(LNG)についてはカタールに目を向ける可能性があり、米国のアジア向けエネルギー・穀物輸出が影響を受ける可能性があると述べた。
商船三井は情報収集とロビー活動のためワシントンに事務所を開設することを検討していると橋本氏は述べた。
彼は、トランプ政権初期には関税への対応として貿易ルートも再編されたと述べた。中国から米国への輸出の一部はベトナムなどの他国を経由するように変更され、中国は米国からの購入を削減する一方で、ブラジルなどからの穀物輸入を増加させた。
CEOは、トランプ大統領の目標は有利な貿易協定を結ぶことであり、本格的な関税戦争が起こる可能性は低いと考えている。
LNG船隊の拡張
世界最大のLNG船である商船三井は、LNG船隊を現在の108隻から2030年までに約150隻に拡大する計画で、需要は2030年代にかけて増加し、その後減少すると予想していると橋本氏は述べた。
橋本氏は「LNGの使用量は2030年代まで増加し続け、2040年頃から徐々に減少するだろう」と述べ、2050年には世界的にまだ相当な量が使用される可能性があると付け加えた。
橋本氏は、2020年から2022年初頭にかけて、MOLはロシアのアークティックLNG2プロジェクト向けに砕氷LNG船3隻とコンデンセート砕氷船1隻のチャーター契約を締結したが、西側諸国の制裁により船舶の引き渡しが保留されていると述べた。
ドナルド・トランプ米大統領が開発を推進しているアラスカLNGについては、パイプライン問題は未解決のままだが、商船三井は長らくアラスカと断続的に協議を重ねてきたと橋本氏は述べた。
同氏は最近日本を訪問したアラスカ代表団とは会談しなかったが、アラスカLNG開発プロジェクトが進展すればLNG輸送に参加する意欲を示した。
橋本氏は、過去2年間に好調な利益を上げ、自己資本が2兆5000億円(172億ドル)超に大幅に増加したことを受けて、早ければ2025/06年度に株主還元を増額する可能性があると述べた。
橋本氏は「株主還元をもう少し増やすことを検討している」としたものの、米国の関税の影響を見極めた上で判断すると述べた。
(1ドル=145.3200円)
(ロイター通信 - 大林由香記者、ジェーン・メリマン記者による編集)